7/10

階段が途中でなくなっていた。階下にまで光は射し込まない。ぼくたちはその一段一段に座り込んで昼夜を共にしていた。

豆のスープが朝と晩に配給される。お湯のなかに豆が数粒入ったものだが、温かさは生きる喜びだった。ここでは多くのことができないけれど、同時に多くのことをしなくて済む。ぼくたちは本来、最低限の衣食住と友人があれば、暇をしのげるようにできているはずだった。

「……短い……弾痕が……庭を……焼いたけれども庭は黙ったままだった」

「『黙ったままだった』は変だな。『焼いたけれども庭は焼かれていない』はどうだ?」

「『焼かれていない』ではなく『氷が浮いていた』とかは?」

「それはちょっとな」

「俺は好きだけど」

「……『庭はコーヒーを飲んでいる』はどうだろう」

「それだ。いいな」

「俺もそれはいいと思う」

 

ぼくたちは階下を見てしまう。

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